『COMIC失楽天2026年1月号』に掲載されたオオサキ先生の読み切り作品です。
※本作は失恋・鬱要素を含みます。
基本情報
- 商品名:夏の日の失恋
- 作家名:オオサキ
- ページ数:28ページ
- 配信開始日:2025/12/24
- 出版社:ワニマガジン社
あらすじ・内容
ずっと気になっていた同じクラスの女子にスパッとフラれた。
どうやらみんなに内緒で付き合っている、同じ部活の彼氏がいるらしい。
あ〜〜〜〜フラれちまった〜〜〜〜〜〜。
でも気まずくなんないようにフってくれてよかったな……。
それに明日から夏休みだし、まぁきっと新学期も変わらず仲良くできるよな……。
ってかヤバっ つい電話しちゃった。
……フラれた日に電話とか我ながらキモすぎるな。
メッセで謝っとこ……。
そしてその頃彼女は――
復活の大エース・オオサキが贈る夏の日の爆発的抒情エロス!!!!!
感想・レビュー
※本作は失恋・鬱要素を含みます。
各所で賛否両論の問題作です。
BSSと酷似した構成でありながら、BSSとは受ける印象が大分異なり、BSSよりもリアリティがあるため良くも悪くも失恋経験のある方には刺さる内容となっています。
最初の数ページは久保田が里山に振られる場面。あまりにもあっさり振られて、付け入る隙が一切ありません。里山は既に彼氏持ちで、その彼氏は同じ陸上部の人間。自分の知らないところで、知らない人間と交際していて完全に蚊帳の外という感じです。
BSS作品の場合、主人公が拗らせオタクだったり、幼馴染で特別な存在だったり、間男が性格悪かったり、と歪んだ構造があります。しかし本作の場合、久保田は別に悪い人間ではなく、また里山にとって特別な存在でもなんでもなくてただのオタク友達。先に好きになったわけでもなければ幼馴染などの特別な存在でもなく、既に彼氏もいるので失恋という悲しい現実だけが突きつけられます。彼氏の康太も嫌味な人間ではなく普通のラブラブカップル。付け入る隙が皆無です。
そしてその後は里山と彼氏のラブシーン。普通のラブラブカップルのいちゃラブセックスで、最初の数ページがなければどこにでもあるいちゃラブ作品なのですが、久保田に感情移入して読む場合、強い無力感を感じる内容となっています。
特に印象的なのは20ページのセックス中にスマホが鳴っている場面。おそらく久保田からの電話もしくはメールですが、里山は「今っ…そんなの……どうでもいいっ!」と気にもとめません。彼氏とのセックス中にスマホが鳴ったところで、そちらを優先する人などまずいないと思いますが、彼氏とただの友達の扱いの違いをまざまざと見せつけられ、心をえぐられるものがあります。
最後は次の日に久保田と里山が今まで通りの会話をして終了。良くも悪くも何も変わっていないし、変えられないリアリティが心に突き刺さります。
最初に登場した人物視点で物語を読みすすめてしまうという暗黙の了解を逆手にとったある種の叙述トリックで、ストーリー構成の巧みさが光ります。
振られた久保田視点で読むもよし、振った里山視点で読むもよし、彼氏の康太視点で読むもよし、誰視点で読むかによって作品の印象がガラリと変わり、色々な楽しみ方のできる作品です。
久保田視点で読んだ場合「セックスできる彼氏とセックスできないただの友人」という悲しい現実が心を抉る作品で、NTRやBSSが好きな方には刺さる作品です。
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